2007年2月11日日曜日

病気/糖尿病/分類/1型糖尿病と2型糖尿病

== 分類 ==
糖尿病は、耐糖能が低下する機序(メカニズム)によって1型糖尿病と2型糖尿病に分けられる。

=== 1型糖尿病 ===
1型糖尿病(いちがたとうにょうびょう)(IDDM)([[ICD]]-10:E10)は、インスリンの供給異常による糖尿病。血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌が低下するか、ほとんど分泌されなくなるため血中の糖が異常に増加する病気である。20世紀前半にインスリンが治療応用されるまでは、極度の食事制限を要する致死的疾患の一つであった。[[膵臓]]の[[ランゲルハンス島]]で[[インスリン]]を分泌している細胞が死滅する事によって起こる。根本の原因は現在解明されていないが、膵組織にはリンパ球の浸潤が見られ、炎症性のメカニズムが想定されている。血中に自らの膵細胞を攻撃する[[自己抗体]]が認められるものを1A型(自己免疫性)、ないものを1B型(特発性)とする。飲み薬は無効で、患者はかならず注射薬である[[インスリン]]を常に携帯し、毎日自分で注射しなくてはならない。インスリンを注射しなければ、容易に生命の危険に陥る。また、1型糖尿病のなかでも、「劇症1型糖尿病」という数日間でインスリンが枯渇するさらに危険な病もある。診断の基準としてはGAD抗体が陽性かどうかが重要である。また2型の様な生活習慣病とは異なり、基本的には発症機序が不明(ウィルス説が現在有力)なので、一般的な「糖尿病」と同じくくりで区分するには病名に無理があるとするIDDM患者会もある。2型と違い遺伝素因は少ないとされている。

=== 2型糖尿病 ===
2型糖尿病(にがたとうにょうびょう)(NIDDM)([[ICD]]-10:E11)は、インスリンの消費の異常による糖尿病。欧米では'''インスリン抵抗性'''が高まる事が原因のほとんどを占めるが、日本では膵臓のインスリン分泌能低下も重要な原因である。前者では太った糖尿病、後者ではやせた糖尿病となる。[[遺伝]]的因子と生活習慣がからみあって発症する[[生活習慣病]]。糖尿病全体の9割を占める。

=== その他の機序、疾患によるもの ===
==== 遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの ====
MODY(もでぃ、'''M'''aturity '''O'''nset '''D'''iabetes of '''Y'''oung)、[[ミトコンドリア]]遺伝子異常、インスリン受容体異常症などが知られている。いずれも比較的若年に発症し、1型ほど重症ではなく、強い家族内発症がみられるという特徴があるが、臨床所見は大きく異なる。
* MODY
*: 純粋に糖尿病のみを来すメンデル遺伝疾患で、常染色体[[優性遺伝]]を示す。内服薬による治療が奏効する場合が多い。
*: MODYには6種類の病型があり、原因遺伝子はそれぞれHNF-4α(MODY1)、[[グルコキナーゼ]](MODY2)、HNF-1α(MODY3)、IPF-1(MODY4)、HNF-1β(MODY5)、neuroD1(MODY6)である。
* [[ミトコンドリア]]遺伝子異常
*: そのメカニズム通り(参考: [[ミトコンドリアDNA]])母方のみから遺伝し、[[難聴]]を伴うMIDD('''M'''aternally '''I'''nherited '''D'''iabetes and '''D'''eafness)、最重症型で[[脳卒中]]・[[乳酸アシドーシス]]などを来す[[MELAS]](めらす、'''M'''itochondrial myopathy, '''E'''ncephalopathy, '''L'''actic Acidosis, and '''S'''troke-like episodes)など多彩な病像を呈する。
*: ミトコンドリア遺伝子異常にはいくつかの変異ポイントがあるが、最多のものは3243A->G変異である。
* インスリン受容体異常症
*: [[黒色表皮腫]]や体毛が濃いなどの特徴的な体格がみられる。糖尿病として診断されるのは[[ヘテロ接合型]]の患者であり、[[ホモ接合型]]では乳児期以降まで生存しない。
* [[インスリン]]自体の遺伝子異常
*: 報告されているが(ただでさえまれな中)きわめてまれである。

いずれも診断には[[ゲノム]][[デオキシリボ核酸|DNA]]や[[ミトコンドリアDNA]]を検体とした特殊な検査が必要である。

==== 他の疾患、条件に伴うもの ====
以前続発性糖尿病(ぞくはつせいとうにょうびょう、[[二次性糖尿病]])([[ICD]]-10:E13)は、他の[[疾患]]と一括されていたもの。糖尿病を引き起こす疾患は[[#血糖の調節機構|血糖の調節機構]]に挙げたホルモンが異常高値になる疾患。
* [[グルカゴン]]を異常分泌する[[グルカゴン産生腫瘍]]
* [[糖質コルチコイド]]作用が異常増加する[[クッシング症候群]]、[[原発性アルドステロン症]]
* [[アドレナリン]]を異常分泌する[[褐色細胞腫]]
* [[成長ホルモン]]を異常分泌する[[成長ホルモン産生腫瘍]]([[内分泌学#ホルモンの異常による疾患|末端肥大症]])
* [[肝硬変]]
* 慢性[[膵炎]]、[[ヘモクロマトーシス]]、[[膵癌]]
* [[筋緊張性ジストロフィー]]
* 薬剤性([[サイアザイド]]系[[利尿薬]]、[[フェニトイン]]など)

==== [[妊娠糖尿病]]====
妊娠中は耐糖能が悪化しがちであり([[hPL]]や[[エストロゲン]]、[[プロゲストロン]]などといった妊娠中に増加するホルモンによる)、妊娠中のみ血糖値の異常を来す患者がおり、妊娠糖尿病とよばれる。一般には出産後、改善する。[[ICD]]-10:O24.4、O24.9。いっぽう、もともと糖尿病患者が妊娠した場合は、糖尿病合併妊娠と呼ばれる。とは言え、もともと糖尿病であったかどうかを完全に確認できているわけではなく、妊娠糖尿病で発症し、分娩後もそのまま糖尿病が治らないこともままある。基本的に食事療法が行われるが、改善しない場合、後述の胎児へのリスクもあり、また飲み薬は[[催奇形性]]の懸念があるため[[インスリン]]注射療法を行うことになる。胎児への影響があるため、通常時より厳格な管理を必要とする。
妊娠糖尿病では巨大児になり易い為、難産になりやすい。また妊娠糖尿病では中枢神経系よりも身体の発育が良いので、出産のときに頭が通っても肩が通らない肩甲難産になり易い。その為、分娩が長引く場合は帝王切開が良い。

==== ステロイド糖尿病 ====
膠原病などで[[ステロイド]]を長期に内服している場合、二次性糖尿病を発症することがある。ステロイド(糖質コルチコイド)作用の、肝臓の糖新生亢進作用、末梢組織のインスリン抵抗性の亢進、食欲増進作用が関わっているとされる。ステロイドを減量すれば軽快する。ステロイド糖尿病では、網膜症などの血管合併症が起こりにくいとされる。

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