== 周辺の語の概念 ==
病気の対義語は、一般に'''[[健康]]'''であると考えられている。
しばしば病気は、「症候群」「疾患」「疾病(しっぺい)」「[[リハビリテーション#障害の医療モデル|障害]]」「[[怪我]]」「[[変異]]」等の語との概念上のオーバーラップがある。
病気の存在を前提として、その患者に共通する特徴のことを'''病態'''(びょうたい)あるいは'''病像'''(びょうぞう)という。'''病状'''(びょうじょう)は、ある特定の患者についてその臨床経過を指すことが多い。これらの単語はしばしば混合されて使われる。
=== 病気と「疾患」・「疾病」 ===
医学では、「病気」という単語はあまり使用されず、代わりにより厳密な'''疾患'''(しっかん)、'''疾病'''(しっぺい)を使うことが多い。「病気」という語では内因性の疾患しか含まないような印象を受けることがあるためである(事故による[[骨折]]は、一般的には病気とは言わないことが多い)。
=== 疾患・疾病・病気と「症候群」 ===
'''症候群'''(しょうこうぐん)は、原因不明ながら共通の病態(自他覚症状・検査所見・画像所見など)を示す患者が多い場合に、そのような症状の集まりにとりあえず名をつけ、扱いやすくしたものである。人名を冠した症候群の名前も数多く、原因が判明した場合にはその名前が変更されたり、時には他の病名と統合されたりすることがある。
一方で原因判明後も長い間そのまま慣用的に使われている「症候群」は多く、逆に「~病」の名を冠する原因不明の疾患も多くあり、実際には明確な区別がなされていないことが多い。
*原因が判明したにもかかわらず「症候群」と呼ばれている疾患の例
**[[重症急性呼吸器症候群]](SARS)、[[後天性免疫不全症候群]](AIDS):いずれもウイルス感染が原因の単一疾患であることが判明している。
**[[ダウン症候群]]:第21染色体のトリソミー(1対2本あるべき染色体が3本ある)による。近年では21トリソミーと呼ばれることも増えた。なお、18トリソミーは別名「エドワード症候群」であったが、こちらはあまり使われない。
*原因不明、単一疾患であるかも不明ながら、「~病」と呼ばれる疾患の例
**[[川崎病]]:小児の急性熱性疾患。原因不明。散発的に流行することから感染の関与が疑わしい一方で、症状の程度や検査所見の傾向にばらつきが大きく、単一疾患であるかも疑わしい。
**[[ベーチェット病]]:[[膠原病]]類縁疾患。特定の[[ヒト白血球型抗原|HLA]]に関連することが多いことはわかっているが、原因は不明。
=== 疾患・疾病・病気と「症状」 ===
'''症状'''(しょうじょう、'''symptom''')は、病気によって患者の心身に現れる様々な個別の状態変化、あるいは正常からの変異のことである。患者本人によって主観的に感じられるものを'''自覚症状'''(じかくしょうじょう)、周囲によって客観的に感じ取られるものを'''他覚症状'''(たかくしょうじょう)と呼んで区別する。単に「症状」といった場合、自覚症状のことのみを指す場合があり、この際は他覚症状のことを'''所見'''(しょけん)、'''徴候'''(ちょうこう)と呼んで区別する。
通常、「疾患」と「症状」は本来大きく違う概念だと考えられている。つまり、疾患が先にあって、それを受けて「症状」が生じる、というものである。しかし日常診療の場では、症状が確認されても、その症状を来たす原因がよく分からない場合が多く、この場合「症候群」での例と同様に、症状名と病名との境目が曖昧になることがある。
例えば、[[脱水]]という病名はないが、脱水が見られたら原疾患はさておき脱水の診断の元に治療を行うことがある。[[近視]]は症状の名前としても病名としても使われる。[[本態性高血圧]]という病名は、別の基礎疾患があって二次的に高血圧となっているものを除いて、原因不明で[[高血圧]]という「症状」を起こしているものをまとめて含めるための「病名」、である。
ある臨床像が、原疾患に見られる症状のひとつであるのか、あるいは合併症として出現した別の独立した疾患なのか、については、医学の教科書を執筆する際の問題となるだけではなく、保険診療報酬や統計にも関わるため、軽視できない問題となる。
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